最新オフィスモデルの’Hubquarters’って?
いま、多くの企業がパンデミックで得た新しい教訓を取り入れた革新的なワークプレイスモデルに注目しています。今回は最新オフィスモデルをご紹介したいと思います。
ハブクォーターズ?
最近よく耳にする「ハブ&スポーク」は、多くの企業で採用されているモデルで、一つのセントラルオフィスと小さなサテライトオフィスで構成されます。その最新モデルが「ハブクォーターズ」と言われているものです。これは、コラボレーションと個人作業の両方を目的とした、小規模な拠点によって構成されるネットワークと言えます。スモールオフィス、コワーキングスペース、ホームオフィスなどの遠隔地のすべての拠点(ハブクォーターズ)が相互に作用しあい活気あるネットワークを作って一つの組織になるという考え方です。
ハブの集合体がハブクォーターズ
通常のハイブリッド型勤務形態では、例えば従業員は週2日はオフィスで働き、週3日はリモートで仕事をします。この弊害としては、大規模なオフィスがある本社をある日はゴーストタウン化してしまうことです。新しいモデルは、本社はサイズダウンし、あくまでその他多くのハブクォーターズの一つとなります。全ての拠点が重要なネットワークのひとつとして機能するためです。もちろん、ニューヨークやシリコンバレーのように成熟したハブは、今後も重要なセンターとしての役割を持ち続け、魅力的な人材確保にも一役買うでしょう。
従業員のスタイルに合わせたハブづくり
特に大手テック系企業がこのモデルを積極的に取り入れています。Amazonは既に17都市にオフィスがありますがさらに6都市に拠点を開設する予定です。Googleは従業員の居住地をより柔軟にするために小規模なハブの増設を検討していることを明らかにしました。また富士通は本社の面積を50%削減する一方で、従業員に自宅やコワーキングスペース、サテライトオフィスなど多様な働く場を提供することを計画しています。
ハブの中枢神経はリーダーが担う
職種や役職によって従業員の出勤の頻度や必要性は変わると思いますが、リーダーがひとつのハブ本部に固執してしまうと、本部にあまり出勤しない従業員はリーダーシップとのコラボレーションの機会を失うことになります。ハブクォーターズではリーダーがハブからハブへと移動してシナプス効果を発火させる触媒の役割を果たし、中枢神経系のように機能します。そうすることでそれぞれのハブが活性化するのです。
働く環境に求める質の多様化
ハブクォーターズ以外にパンデミックがオフィス業界に与えた影響としては、室内換気の質や健康的なビル環境の提供、またグリーンビルディングへの意識の高まりがあります。パジャマのまま家の裏庭で仕事をするよりもオフィスを選択してもらうために、オフィスビルのオーナーもこうした環境整備を模索し始めています。ニューヨーク・マンハッタンでは屋外テラスや共用エリアを近年さらに充実させた高層ビルが増えました。内覧でもビル側の担当者がこぞって「ご自慢」ポイントをテナントにアピールしています。
ある調査ではオフィスより自宅で働く方が生産性が高いと感じる人の割合は2020年には50%近かったのが、現在は39%に減少したとのデータがあります。人々は働く場所のフレキシビリティを求める一方でコラボレーションの重要性にも気づき始めており、決してオフィスに行きたくないわけではないのです。
あとは企業側がどのような働く環境を整備するか、ということかもしれません。いち早く自社のカタチに合うワークプレイスモデルを見つけ、適応させていくことがポストコロナの企業運営のカギになるのかもしれません。
2021年はコロナの状況に合わせて日々変化を余儀なくされた年でした。2022年は未来のカタチに向けて落ち着いて一歩を踏み出せるような実りある年にしたいものです。今年も大変お世話になりました。どうぞ良い年越しをお迎えください。